オフィシャルブログ

「耐食性」が高い金属の種類と使い道 | 実績を例に分かりやすく解説

Share on Facebook
LINEで送る

ステンレス チェーン

 

金属部品の製作・加工業者では、当たり前のように使われている「耐食性」という言葉。

 

製作・加工業以外の人々にとっては耳に馴染みがなく、「何に耐えられるの?」と疑問に思う用語かもしれません。

 

 

そこで今回は、「耐食性が高い」とは具体的にどういう意味なのか、そして耐食性が高い金属はどう使われているのか、当社『杉原産業』の製作実績を交えて、分かりやすく解説していきたいと思います。

 

「耐食性が高い」とは、「金属が錆びにくい」という意味

 

「金属の耐食性が高い」、または「金属が耐食性に優れている」という言葉は、「金属が錆びにくい」ということを意味しています。

 

同じ読みの言葉に「耐蝕性(たいしょくせい)」がありますが、これもほぼ同じ意味で、金属の錆びにくさをあらわしています。

 

 

「耐食」=「錆びる」と言えば、鉄クサイとか茶色くなるといった印象が強いですよね。

 

表面的にはそれで間違いないのですが、以下ではもう少し化学的に、金属が錆びる時に何が起こっているのか、分かりやすく説明したいと思います。

 

–  金属の錆びは「酸化」などが原因で起こり、金属の質を劣化させる

 

私たちが普段「あ、錆びてる!」と驚くことが多い赤錆は、「鉄」でできている部品によく発生します。

 

素材である「鉄」と、空気中の「酸素」「水分」が化学反応を起こして、素材の鉄を赤錆色の「酸化鉄」に変質させてしまうのです。

 

 

酸化鉄の金属としての性質は、鉄よりも劣ります。

 

表面から酸化が始まって、それが内部まで進行していくにつれ、最初は鉄でできていた金属部品の耐久度は、みるみる落ちてしまいます。

 

“錆びてボロボロに見える状態”の金属部品が、屋外の建築物に使われていたとしたらどうでしょう?

 

安全な生活が成り立たなくなることは、明白です。

 

 

だからこそ、用途によっては耐食性を1番に重視した金属、または仕上げ方法を選んで、金属部品を製作する必要があるのです。

 

「耐食性を最優先して作るのは、どんな金属部品?」という疑問には、記事の後のほうで解説しています。

 

耐食性が高い金属の種類を、3つに分けて紹介

 

金属イメージ

 

耐久性が高い金属の種類を理解しやすいように分けると、3つのカテゴリーに分類できました。

 

ざっくりしていますが、同じように説明をしている製作・加工業者も多いので、「コレが1番分かりやすいのかな?」と感じています。

 

では以下で、耐食性が高い金属の種類について、1つずつ見ていきましょう。

 

  1. 【1】耐食性が極めて高い金属
  2. 【2】耐食性が高い金属
  3. 【3】耐食性がやや高い金属

 

【1】耐食性が極めて高い金属 ⇒「金」や「白金(プラチナ)」

 

「ほぼ錆びない」といっても過言ではないほどの、極めて高い耐食性を持つ金属の種類は、「金」「白金(プラチナ)です。いわゆる、「貴金属」と呼称される金属。

 

金や白金が錆びないのは、“化学反応をほぼ起こさないレベル”で、分子構造が極めて安定しているからです。

 

 

高級アクセサリーやインテリアに使用されることや、「金」そのものが現物資産として高い価値を持っていることには、金や白金が極めて劣化しにくい性質を持っていることが、少なからず影響しているでしょう。

 

【2】耐食性が高い金属 ⇒「ステンレス」や「チタン」「クロム」

 

先述した貴金属類の、卓越した耐食性の高さには及びませんが、まだ金や白金よりも安価で手に入れやすく、なおかつ耐食性がとても高い金属の種類に「ステンレス」や、「チタン」「クロム」などがあります。

 

 

特にステンレスは、金属の性質のことをほとんど知らなくても、「錆びにくいんでしょ?」と知っている人が多いはずです。

 

キッチンを見渡せば、ステンレス製の調理器具・食器類がたくさん目に入るでしょう。

 

 

さて耐食性が高い、すなわち錆に強い金属であるステンレスやチタン、そしてクロムなどですが、ある特殊な環境下に置かれると、その耐食性が弱まったり、逆に強まったりします。

 

以下、金属の耐食性の強弱に関わる、様々な条件です。

 

  • ・ステンレスで気を付けたい「もらい錆び」
    ⇒ 鉄など他の錆びている金属の近くにステンレスを置くと錆びる
  • ・チタンは「海水」での耐食性が特に高い
  • ・クロムは「高温ガス環境」での耐食性が特に高い

 

“ある環境では強いが、ある環境では弱い”という、金属それぞれの特性を把握し、部品の用途によって最適な金属を選んで、私たち製作・加工業者は「質がいい部品」を作ります。

 

【3】耐食性がやや高い金属 ⇒「銅」や「鉛」

 

最後に取り上げる金属の種類は、比較的耐食性がよいとされる「銅」「鉛」です。

 

 

例えば、日本の10円玉硬貨に使用されている金属素材「銅」は、錆びることは普通に錆びていきます。

 

しかし、表面の錆びが金属内部まで進行していくスピードが比較的遅いことが特徴です。

 

 

これは、銅の表面の錆びで生み出された物質が、金属全体をカバーすることによって得られる効果。

 

錆びで見劣りすることはあるものの、使用不可能なレベルまで金属そのものの質が劣化するまでのスピードが遅いため、ここでは銅を“耐食性がよい”ものと定義します。

 

 

また「鉛は、表面が黒ずむように錆びていく特性を持ちますが、銅と同じく、金属内部に劣化がいたるまでのスピードは遅いです。

 

金属の耐食性は「メッキ加工」でも上げられる

ポイント

もともと耐食性が高い金属(素材)を選ぶ以外に、メッキ加工によって金属部品を錆びに強くすることができます。

 

メッキの種類は様々で、素材と相性の良い種類のメッキで覆うことが基本です。

 

【関連コラム】

⇒ 金属パーツの表面加工(表面処理)の種類と特性 | メッキ・研磨・塗装など

 

耐食性が高い金属の使い道と実際の製作・加工事例

 

以下では当社『杉原産業』が、耐食性が高いステンレスで作った様々な金属部品を、いくつかご紹介します。

 

  1. 【1】1週間で仕上げた工事現場用の「控え」
  2. 【2】露出箇所の破損・劣化リスクを抑えた特注ネジ
  3. 【3】長く身に着けたいステンレス製カプセル

 

【1】1週間で仕上げた工事現場用の「控え」

 

バルコニー用の建築金物

 

工事途中の建物を支える「控え」を、錆びにくいステンレスで製作しました。

 

大事な建物の一部を屋外で支える金属ですから、一時的に使われる部品とはいえ、安心・安全な工事のために、耐食性が高いに越したことはありません。

 

 

「なるべく早くほしい」とのご要望があり、製造・加工業界ではかなりの早さと思われる、問い合わせからわずか1週間以内の納期で仕上げました。

 

【詳しくはコチラ】

⇒ バルコニーで使う建築金物を急ぎ(1週間)で製作!

 

【2】露出箇所の破損・劣化リスクを抑えた特注ネジ

 

高さ調整ネジ

 

とあるお客様から製作のご依頼をいただいた特殊ネジは、締め具合によって露出部分が多くなる構造。

 

錆びやそれが原因の破損・劣化のリスクが、通常の固定用ネジと比較して高い構造とも言えるため、強いステンレスを使って仕上げました。

 

【詳しくはコチラ】

⇒ オリジナル高さ調整ネジを2種類製作

 

【3】長く身に着けたいステンレス製カプセル

 

ステンレス製金属カプセル

 

“小さな想い出”をアクセサリーとして身に着けるためのアイテムに、金属製カプセルがあります。

 

カプセルは様々な金属で製作されていますが、「肌身離さず着けたいので、できるだけ頑丈なほうがいい」という人にオススメなのは、やはりステンレスでしょう。

 

ステンレス製金属カプセルは、錆びにくく傷もつきにくいため、長く愛用することができます。

 

【詳しくはコチラ】

⇒ 金属カプセルの製作 | ステンレス・チタン・アルミ

 

耐食性(耐蝕性)が高い金属部品を製作するなら、実績豊富な業者に相談しよう

 

以上、耐食性(耐蝕性)が高い金属の種類や、その使い道についてお伝えしました。

 

いくら耐食性に優れているとは言っても、ホコリが付着したまま放置したり湿度が高すぎる場所で使用したりすると、錆びてしまう可能性はあります。

 

 

「頑丈だから大丈夫」と油断せず、気が付いた時に表面をぬぐう等のお手入れをすることがオススメです。

 

アルミニウムや鉄など、特別耐食性に優れている金属ではなくても、こまめなお手入れをすれば錆びにくく、綺麗な状態を保ちやすくなります。

 

耐食性に優れた金属部品をお求めなら、使用条件によって最適な金属を提案できる、実績豊富な製作・加工業者に相談しましょう。

 

 

当社『杉原産業』もこれまで多数、ステンレスなどの金属で耐食性が高い金属部品を製作してきました。

 

もし「耐食性が高い金属で部品を作らなくてはいけない……」とお悩みなら、『杉原産業』にお問い合わせください。

 

⇒ 実績一覧ページはコチラから!