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チタン製オリジナル腕時計の留め金具修理

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オリジナル腕時計の留め金具修理後の完成品

 

思い入れのあるオリジナル腕時計のベルトの留め金具を修理してほしい

弊社のホームページを見たお客様から、「オリジナル腕時計の留め金具が壊れたので、留められるように修理して欲しい」とメールを頂きました。

そしてお電話をさせていただくと、他の業者に依頼を出してみたけど、何度も難しいといって断られたと言う事で、諦めていたところに杉原産業のホームページを見つけて、ダメ元で問い合わせをしたという事でした。

そして、時計の事も聞かせていただくと、「この時計はチタンでオリジナルで作ったという事で、ものすごく思い入れがあってこれからも使いたいから、どうにかして留め金具のところが留まるようにしてほしいんです。できませんか?」と非常に困っておられたので、「できますよ!安心してください」と引き受けさせていただきました。

ベルトの留め具の仕組みを確認してできそうな事を探す

留め金具の構造



この留め金具の仕組みが、右側にある穴にはめて、留めるというシンプルな仕組みでした。

ただ、ずっと使い続けているうちに、金属が摩耗してカチっと留まらなくなったようです。

そうすると、一般的な時計ベルトのプッシュ式のような構造にはなっていないので、また違った造りにする必要があります。

ここから考えられるのは、2つです。

  1. 1,元々ついているピンを穴に入れて別の押さえ方をする。
  2. 2,今の留め具のピンが付いているところから変える。

 

他にもまだ思いつくものはありますが、オリジナルで作られた思い入れのある時計と言う事だったので、2の今あるパーツを外すのは正直心もとないと思います。

それであれば、微細な加工技術を要する事になりますが、1の元々ついているピンを活かして、今の状態のままピンを押さえれるようにする方が、お客様にとっても気持ちが良いと思います

その為、修理をする方法は、ベルトの横に小さな穴を空けて、小さなネジを取付けて、一番奥まで回せば固定され、ほんの少し緩めれば外れるように使い勝手を考えた調整を行う事にしました。

ネジの取り付け時の問題と解決策

ベルトにネジをはめ込んでいる様子

このネジを取付ける際、元々はチタンに直接ネジを取付ける予定でしたが、予期せぬ問題が起きました。

チタンに直接、ねじ切りを行っても、なぜかボロボロと崩れてネジ切りができなかったのです。

それであればと、解決策として、ベルトのチタンに穴をあけて、その穴の中に入るギリギリの寸法の小さなパイプを切削加工で作成し、圧入をしてガッチリとはめ込みました。

そして、そのパイプにネジ切りを作って、長さを微調整したネジを入れました。

ネジの長さの微調整というのは、最後まで回した時にガチっと留まる状態、ほんの少し回しただけで緩めた状態になるように長さを計算して調整を行いました。

ネジの頭にある黒いものは特殊なゴム

ベルトに取付けたネジと頭の樹脂

このネジの頭についている黒いものは特殊なゴムを用いています。

実はこのゴムは、普通のゴムよりも非常に耐久性が高く、柔らかすぎない程よい触感を持っています。

また、ネジの頭なので、手でクルッと回した時にゴムだけ回転してネジが回らなくなると困るので、本当に良いゴムを利用してなかなか外れないように工夫をして取付をさせていただきました。

 

オリジナル腕時計の留め金具の修理が完成して頂いたお声

修理が完成してからお客様に、「できましたよー!!」とお送りさせていただきました。
そうするとお客様から、「諦めてたんですけど、もう完璧です!」と有り難いお声を頂きました。

そして少しお話しをして、どうも感動が留まらなかったようで、「本で紹介してもいいですか!?」とまで言っていただけました。

お客様が何をされている方なのか分からないのですが、ここまで感動してただけると本当にやってよかった!と思いました。

杉原産業は、他の業者で断られて困ったな…。
という方に対して、先ず無理です!というのではなく、できる方法を考えます!というスタンスでお手伝いをさせていただいております。

他で断られたとしても柔軟に解決策を考えるので、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。